『監理技術者とは?』-主任技術者・監理技術者解説シリーズ②
建設業許可を受けて工事を施工する際、ある一定の条件下では主任技術者に代えてより高度な経験・資格を持った「監理技術者」を配置しなくてはいけません。注意すべき点は以下4点となります。
1.監理技術者を配置すべき現場とは
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者が、その建設工事を施工するためにした下請契約の請負代金の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上になる場合には、その建設工事の現場には「監理技術者」を置かなくてはいけません。(建設業法第26条第2項)。
(※)令和5年1月1日から、上記金額へ緩和されました。 ⇒ 詳しくはこちら
監理技術者を置くべき事例について、下記の工事受注の流れに沿って見てみましょう
「発注者」 ⇒「特定建設業者A」⇒①⇒「一次下請B・C」⇒②⇒「二次下請D・E」
上記の①の段階でAからB・Cへの「下請金額の合計が4,500万円(建築一式は7,000万円)以上」となるとAは監理技術者を配置する義務が生じます。
一方、②の段階では、下請負契約の金額の合計がどれだけ大きくてもB・Cは発注者から直接工事を請負ってはいないので、監理技術者ではなく主任技術者を配置することになります。
2.監理技術者になるための要件
監理技術者は特定建設業の許可を取得する際の専任技術者の要件に該当する資格・経験がある者でなくてはなりません。特にその工事が指定建設業(※)である場合には、「一級施工管理技士合格者」「一級建築士合格者」「技術士試験合格者」「国土交通大臣認定者」に限られます。(建設業法第26条第2項)
(※)指定建設業とは
「土木一式・建築一式・管・鋼構造物・舗装・電気・造園工事」の7業種を指します(建設業法施行令第5条の2)
3.監理技術者の職務
主任技術者と同様、「建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督」の職務が課されています。(建設業法第26条の4)
ただし、下記のような違いがあります。
・元請の監理技術者の職務 | 工事全体の統括的な管理・下請間の調整・下請の指導 |
・下請の主任技術者 | 請け負った範囲の工事の管理、元請けへの報告 |
※表中一番右の欄(もっぱら複数工種のマネージメント)とは、管工事も電気工事も熱絶縁工事も含まれるような空調衛生設備工事等を施工する際の主任技術者を想定しています。再下請負に出した場合などに複数の下請とのやり取りも考えられるため、単なる下請けの役割とは区別して例示されています。
4.雇用関係
主任技術者同様、「直接的かつ恒常的な雇用関係にあることが必要である」とされています。このため、在籍出向者や派遣社員は監理技術者にはなれません。特に、公共工事等においては、発注元から直接工事を請負う建設業者の専任の監理技術者は入札の申し込みより前に3カ月以上の雇用関係があることが必要とされます。(監理技術者制度運用マニュアルより)
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